第1回から読む
第9回 会社としてのリモートワークのための拠り所を
- 板林
就業規則はないのですか?
- 倉貫
もちろん、就業規則は用意はしてますけど、がちがちにそれで縛ってるかっていうと、そんなことはないですね。
- 板林
私たちのところに相談に来られて、テレワークとかサテライトオフィスをやりたいっていう会社さんがいるんですけど、やっぱりルールとかをどうしたらいいのかってすごい悩んでる。
- 倉貫
そうですね。そこは結構多くの会社が迷っているし、先進的な会社は試行錯誤されていると思っています。そもそも、これまでの一般的な就業規則はリモートワークを前提にしていないですからね。
- 板林
そうそう。
- 倉貫
とはいえ、多くの会社さんで知りたいのは、ちゃんとしたルールでしょうね。そのあたりの不安を払拭したいと思っているはずです。なので、これからもっと規則などが整備されていくべきかな、と考えています。でも、そこは1社での話ではなくて、すでに実践している企業同士、連携をとって共有していきたいな、と思っています。
- 星野
そうですね。
- 倉貫
ダンクソフトさんとしては、これからもリモートワークという働き方は、推奨していく感じですか?
- 星野
それは普通になっていかざるを得ないというか、今みたいな時代の流れはそっちにしか行かないですよね。戻ることはないと思う。同じ場所にいなきゃいけないという制約はあまり意味がないとは思いますね。
- 倉貫
そう思います。
- 星野
だって、東京は今みたいに人が採れなかったら、ITの業界は成り立たないでしょう。10年、20年のスパンで考えたら、ここにずっとオフィスを構えるっていうのはたぶんないと思う。これから人はどんどん減るじゃないですか。その中で雇おうとすると、もっと分散できたほうが楽しいし、だからそれこそ夏は北海道ですよ。そこを目指したほうが僕はよっぽどいいと思う。
- 倉貫
リモートワークをやってみて、場所というよりも、どちらかというと、時間から働き方が自由になったなって感じはすごくしていて。
- 星野
そうですね。
- 倉貫
昔は通勤するとオンで、退社してオフになるみたいな1日1回しかオン・オフがなかったのが、リモートワークを始めたら、いつでもオン・オフができるようになって、もっともっと柔軟に働けるな、という感覚です。例えば、1時間だけ授業参観するとか、市役所に行くとか、個人の用事を、仕事の中に混ぜることだってできるし、旅行と出張も混ぜることだって出来る。
- 星野
確かに、そうなってきますね。
- 倉貫
話題の育児休暇だって、完全にオンかオフか、という話になると、本人も会社側も大きな負担になるんですよね。それをゼロイチで考えるのでなく、少しずつ働き続けるとかできても良いんじゃないか、と思います。そのためのリモートワークでもあるな、と。
- 星野
そうです、そのためには企業としてどうするか、考えないといけませんね。
- 倉貫
はい、本当にリモートワークを広めるためには、会社として社員を雇用した中で、離れた場所にいても働いてもらうことができる制度をどうするか、そこがポイントになると思います。
- 板林
そうなんですよね、実際のところ「ツールをどうしたらいいですか?」っていうよりは、「ダンクソフトさん、制度はどうなってますか?」っていう質問のほうが多いですよね。
- 星野
多いですよね。
- 倉貫
今、テレワークやクラウドソーシングなど、様々な言葉がありますが、リモートワークという言葉で取り組むべき問題は、企業として取り組むことだという認識だろう、と私は考えています。実践する上でのノウハウは、実は既に環境も整っていてツールもあるので、さほど難しくなくて、やっぱり制度ですね、制度のガイドラインが欲しい。
- 板林
確かに本当に課題なのは、働く時間のところで、その辺りが改善されると一気に始めるところが増えると思うので、絶対に必要だと思っています。
- 倉貫
リモートワークを実践している企業同士、引き続き、ぜひ制度に関する情報交換させてください。今日は、長い時間頂き、お話できて楽しかったです。ありがとうございました。
- 星野
はい、こちらこそありがとうございました。
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取材後記
ダンクソフトさんのことは、サテライトオフィスを展開されていることもあって以前から知っていて、ぜひお話をさせて頂きたいと思っていました。そして、実際に話してみると、初めて会ったとは思えないほど共感することが沢山あったんです。
もちろん私たちソニックガーデンとは、リモートワークの実践の形は異なりますが、それでも、非常にフランクで、ジャズのように自律的に、そして新しいことに楽しみながら取り組む社風については、共通しているように感じました。
ダンクソフトさんのようにリモートワークが普通になっている会社に共通する点の一つは、新しい働き方や、働き方の変化に対して、社員の皆さんが恐れることなく取り組む姿勢で、その結果が今の働き方につながっているのでしょう。
きっと、この先も世界の変化にあわせて働き方を変え、自分たちの働き方を変えていくことで世界の変化に飲まれることなく、楽しくやっていくというのが、ダンクソフトさんのスタイルではないかと、今回の対談を通じて感じました。
(株式会社ソニックガーデン 倉貫義人)
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