前編を読む
エンジニアとしての『砂場』
奥様のアイシングクッキー屋さんを手伝っていらっしゃるということで、noteの記事も読ませていただいたんですけど、システムを全部構築して、サイトもきれいに整理なさったんですよね?
ご自身のnoteに「某アイシングクッキー屋のサイトを、アイシングクッキー界一ナウい技術スタックなサイトにリニューアルした話」として公開されています。
- 福井
そうですね。エンジニアとしての自分の砂場というか、実験台という意味も含めてて作り直しました。あとは経理も手伝いをしていて、去年、初めて確定申告をしに行きました。
確定申告は大変ですもんねぇ。
- 福井
はい(笑)。
それは最初に奥さんから相談されて始めたんですか?
- 福井
妻はアイシングクッキーを趣味でやってたんです。Uターンして、しばらくは妻の実家にいたんですけど、2017年に家を新築しまして、そのタイミングで妻に「せっかくだったら、家に併設した形で工房を構えてお店としてやってみたらどう?」と打診したんです。趣味で終わらせるのはもったいないと思ったので。それがきっかけですね。
じゃあ、福井さんのほうから提案したんですね。それでウェブサイトを整えたのは、工房ができた後ですか?
- 福井
後ですね。お店を始めて1年ぐらいはAmeba Owndというものを使って運営してました。
今は自分のドメインで全て自作?
- 福井
そうですね。ドメイン自体はもともと独自ドメインを使えたので今と変わらないですけど。
現在もアップデートしたりとか、「こういうことをしたいな」と考えたりとか、それこそ砂場遊びの感じでやってるんですか?
- 福井
最近はそうですね。デザインはそんなに変えてないんですけど、例えば裏側で使ってるJavaScriptのライブラリを変更したりとか、アップデートしたりとか、そういう細かいことはやってますね。
リモートワークが自分と家族の人生を変えた
奥様は、今の福井さん自身の働き方についてどう思っていらっしゃるんですか?
- 福井
やっぱり最初に話したときは、「仕事、大丈夫?」みたいな感じで不安視してましたね(笑)。ただ、会社がうまくいく、いかないは、そもそもリモートワークうんぬんに関係なくあり得るので、それは説明しつつ、もしダメになったら最悪自分だけ上京して、単身赴任でもなんでも働くからっていう話をしたら、納得してくれたんですけど。
今は受け止めて頂いているんですね。
- 福井
そうですね。もう3年、今の働き方で問題なくやっていますし、当時よりも明らかにリモートワークという働き方が、政府からも推奨されているので。
時代がだんだん追い付いてきたというか、そういう流れもあってか、今は全然問題ありません。どちらかというと、僕らの親たちから理解が得られているのか怪しい(笑)。
アイシングクッキー店「en」の工房
世代ですね。ITからして怪しいみたいな雰囲気があったりしますもんね(笑)。
- 福井
そうですね(笑)。でも流石にもう3年経つので、免疫が付いたのか、もうそんなに心配されることもなく、「なんか分かってくれてるのかな」と。
もしリモートワークをしていなかったら、奥様がアイシングクッキー屋さんをやることもなかったということになりますね。
- 福井
そうですね。恐らくやってないんじゃないかなと思いますね。
極論ですけど、リモートワークへの決意が人生を変えましたね(笑)。
- 福井
まさにそう思いますね。クッキー屋さんもそうですし、なんなら家も絶対建ててないので。妻とも「神奈川にあのまま住んでたら絶対やってないよね」っていう話をしました。
仕事もプライベートも機動力が上がった
働き方を変えてみた感想をお聞かせください。いい面でも、改善が必要な面でも。
- 福井
いい面でいうと、やっぱり家族との時間、家族と過ごせる時間が圧倒的に増えました。今、子どもが2人いるんですけど、普通の働き方をしてるとどうしてもワンオペになりがちだったりするので、そこを2人でちゃんと分担できるのは本当に。
2馬力で育児も仕事もできるというメリットは、皆さんよくおっしゃいます。
- 福井
本当に、それが1番かな。あとは思ったより違和感がないですね。作業が滞るようなことも特になかったですし。それはたぶん職業柄というか、プログラマやエンジニアはリモートワークに向いているんですね。基本的にはプログラムの読み書きなんかで黙々と作業するのがメインなので。でもやっぱり雑談とか、そういうリアルなコミュニケーションがとれないことをもう少しなんとかしたいな、とは思っています。
機器やツールの面では何かありましたか?会社さんによっては、1対大勢のミーティングのためにマイクの性能を上げた、というところもあったんですが…。
- 福井
あっそうですね。会社側に良いマイクを導入してもらいました。私も今は1対会社というスタイルなので。僕の方はというと、減らしましたね。
減らした?
- 福井
はい。モニタを使わなくなりました。昔は大きなモニタを使ってたんですけど、結構気分によって外でやったり、会社行ったり、場所を変えることがちょいちょいあるので、コンパクトにしました。モニタはすごく便利なんですけど、場所によっては体験が変わってしまうので。
それより機動力を取ったんですね。
- 福井
そうですね。常に同じ体験ができるほうを選びました。モニタがないとできないとか、やりづらいとなってしまうと、場所を変えてやるのが億劫になってしまうので、不便ではあるんですけども、敢えて。
なるほど。やってみなければわからなかったことですね。
発信することを誰かの助けにしたい
アイシングクッキー屋さんのサイトをいじることで、本業にもいい影響があったりはしていますか?
- 福井
そうですね。お店の方で試したことを本業に持ち込んだりというのは、まさに今発生していますね。そもそもそういう目的もあって作ったというところもあるので。今、noteをリニューアルをしている最中なんですが…。
そうなんですか。
- 福井
そこで使ってる技術は、アイシングクッキーのサイトで使ってる技術、ほぼそのままなので。還元されてますね。
美しくアーティスティックなクッキーがたくさん
自分の実験室というか、研究室みたいなものを持っていることが、エンジニアとしてすごくプラスになっているんですね。
- 福井
そうですね。
技術的なこともnoteで公開してらっしゃいましたね。反響はありましたか?
- 福井
ええ。ただ、どの層に向けた話なのかっていうのを見失った感があって、失敗したなとは思ったんですけど(笑)。
(一同笑)
- 福井
ライトなことを最初は書こうと思ってたんですけど、だんだん書いてくうちに技術的な話になってしまって。その辺はちょっと失敗したな、記事を分けて書けば良かったなと思いました。案の定、読者としてはエンジニアからの反響のほうが大きかったです。
そういう発信も結構積極的にされる方ですか?
- 福井
今後はちょっと外にも発信していこうかなと思ってて、意識はしてはいますね。インプットを整理するっていう意味ももちろんあるんですけど、最近社内に人が増えてきたので、1人離れて働いている自分が、普段どういうことをしてる人なんだよという、自己紹介的な意味合いも込めて。
このインタビューもそうなんですけど、社内外の、リモートワークに興味がある人に、具体的な体験が伝わって、リモートワークが広がる手助けになればいいなと思います。ラボとしてもその一助になれば。
- 福井
そうですね。ありがたいです。
取材後記
Uターンをきっかけにリモートワーク、そしてそれ自体が家族全体の転機にもなったという、まさにドラマな体験を聞かせて頂きました。試行錯誤の末に身につけたリモートワーカーとしてのテクニックの話も、大変興味深いものでした。
アイシングクッキー屋さんも、株式会社ピースオブケイクさんも、ますますのご活躍をお祈りいたします!
(リモートワークラボ編集部)
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