前編を読む
従業員同士が顔を合わせる機会は?
皆さんお住いの地域は日本全国バラバラですか?
- 松本
広島、島根、愛知、宮崎…と、今のところは西が多いですね、なんとなく。場所は問わない募集なんですが、西の相性が良いみたいで。
従業員同士が実際に会う機会はありますか?
- 松本
頻繁にはありません。近所に住んでいる方は自分なりにペースを決めて出社してますが、フルリモートの方も多いので…。去年、決算報告会の時にみんな子連れで集まったんですけど、遠くの方はやっぱり来れなかったです。
ソニックガーデンも、フルリモートで全国に従業員がいるんですけども、web会議を使って画面上で飲み会をやったりするんですよ。「リモート飲み会」と呼ばれているんですが…。
- 松本
それ、「いいなぁ」と思って拝見してたんです。今年の決算報告会はそれでやろうかなと思って(笑)。
いいですよ、すごい盛り上がります。
- 松本
いいですよね。一番忙しい時間帯がちょうど食事の時間帯なんですよね。全部片付いてゆっくり飲もうと思ったら、結構遅い時間帯になりますし。
家事終えて、家に居ながら飲み会出来たらいいですよね。ぜひご検討ください(笑)。
- 一同
(笑)
チャットとweb会議を柔軟に使い分ける
三島さんの一日のスケジュールを教えていただけますか?
- 三島
朝6時半に子どもに起こされて起きまして、そこから朝ご飯を作ったり、洗濯機を回したり、とりあえず家事全般を8時過ぎぐらいまでに全部終わせます。そして旦那を起こし(笑)。
- 一同
(笑)
- 三島
なんやかんやして、大体9時前ぐらいにはパソコンの前に一旦座るようにして。
「今日は何をしようかな」とか、「どういうふうに動こうかな」みたいなことを考えてから、9時から9時半ぐらいには業務を開始します。そこから大体12時ぐらいまで、子どもに呼ばれて中断したりしながら仕事をして、お昼休憩は1時間くらい。その後残りの作業をして、2時ぐらいには終了です。その後は子どもと過ごしたりお買い物に行ったり、家事と夕飯作りで終わりますね。
日に寄りますが、どうしてもやらないといけない時は2時以降の時間で調整をしたり、夜子供が寝た後にちょっと時間を作って作業したりしています。
きちんとリズムを決めていらっしゃるんですね。素晴らしい。
いつもリモートで作業されてると思うんですけど、業務の開始や離着席などのお知らせも皆さんとのコミュニケーションに含まれていますか?
- 三島
そうですね。ChatWorkを使っているので、業務開始の時に「今から始めます」、「抜けます」「帰ってきました」みたいなひと言は都度入れるようにしています。
コミュニケーションの中心はChatWorkですか?
- 三島
そうですね。ChatWorkと、あとGoogleカレンダーも使っています。
なるほど。webミーティングも頻繁になさっていますか?
- 三島
定期的なミーティングは週に何回か。あと月に1回は必ず全体のミーティングがあるので、そこに参加できるメンバーはみんな参加しています。Zoomを使っていますね。
普段の些細なコミュニケーションはwebミーティングで話し掛けるよりは、ChatWorkを使った文字でのコミュニケーションが多めですか?
- 三島
ええ、文字でコミュニケーションを取ることもありますし、相手のカレンダーを見て、業務的に大丈夫そうだなと思ったらwebミーティングさせてもらうこともあります。皆さん割と柔軟に「今話そう」と言ってくださるので助かってます。
コミュニケーションは自分から、密に
リモートで働くということで何か心掛けてることはありますか?
- 三島
やっぱりすぐ近くにいるわけではないので、自分が困ってることなんかは言わなければ相手には伝わらないじゃないですか。だから困ったらすぐ聞く、確認するということは心掛けてます。
同じ空間にいない分、コミュニケーションを密にするというか、細かくアピールすることが大切になってきますよね。
- 三島
そうですね。気付いてもらうっていうよりは、自分から行こうっていうのを心掛けてます(笑)。
このチームで働いてて「良かったな」と思うことって何か具体的にありますか?
- 三島
入社してすぐでも、ChatWorkの中ですが、すごくウェルカムな雰囲気で、チームに参加しやすかったんですね。誰に聞いたらいいか分からないことをとりあえず全員に、「誰か答えてくれるかな」という感じで聞いてみると、誰かしらが救いの手を差し伸べてくれるんですよ。皆さん口々に「これはこうだよ」「こうしたらできるよ」とかいい意味で饒舌で、すごく助かりました。
すぐに解決できるし、1人で抱え込むストレスもないし。質問がすごくしやすいですね。あとは、子育て中の方が多いんで、雑談でも子育てのこととか、「今こんなのがはやってるよ」とか、「あ、そうなんや、気を付けよう」とか思ったり思えたりするんで、ほんとにこのチームで良かったなと常々思います。
離れているからこそ、わかりやすく共有していく
リモートワークを導入して、人を入れ替えてという段階の中で、「ここは想定してなかった、ここはアップデートしなきゃいけないな」といういうような気付きはありましたか?
- 松本
細かいことを言い出したら、いろいろあるんですけど(笑)。先ほどお話しした私自身の紆余曲折があってリモートワークを導入して、今に至っているんですけど、「なぜリモートワークを導入してるか」みたいな根本が意外とメンバーと共有しきれてない気がしています。
確かにリモートワーク始めてから、すごくスキルのある方が来てくれるようになったんです。今回の取材のようなご縁もいただいたりしますし。その一方で、なぜうちを選択してくれて、なぜうちで働いてくれるのか…。実はそこに「理念」に対する共感はまだまだ少ない気がしています。シンプルに「あ、リモートワークできるんだ!」で集まってくる。この理念の共有は、リモートワークだけに普通の会社よりも必要だなと思っていまして。
例えば内側へ向けての発信だけではなくて、SNSの私の発信や今回のインタビューのように、外側に向けて発信したものを従業員が見て受け取ること、それも大事な理念の共有方法です。全員が理念を理解して「よし、やるぞ」とあがる必要は全然ないと思うんですけど、なんというか「温度」を考えないと、ともすれば子育て中の人にとっては負荷になるだけだなあと。組織を作る人、シンプルにリモートワークだけしたい人…。スキルや経験があれば、組織づくりに対する「温度」や「熱意」はいろいろあっていい、大切なのは会社が個々の温度を把握しておくことかなと。
ただ単にスキルがあるという共通項はあっても、求めるものが違ったりするので、それぞれのストレスにならないように。
ビジョンの共有というのは大切ですね。
- 松本
役割はいろいろあっていいと思っていて、例えばひとつの船で行くのに、船頭もいれば、オールを漕ぐ人もいれば、水が入ってきたのを外にかき出す人もいていい。でもそれを、分かりやすく言語化してあげないと、「私はオールを漕ぐだけでいいと思っているのに、松本さんに『船頭をやってよ』って言われてる」と思ってしまう方も出てきてしまう。なのでそこはチャットでもなんでも、会えるなら会って直接喋るでも、できるだけしてあげたいと思っています。
そうですね。普通にオフィス集まって働いてる会社さんでもそれは必要なことだとは思うんですけど、離れて働いてるからこそ、ひとつひとつの共有をしっかりしていかないと伝わらないということは多くなりますよね。
- 松本
そうですね。課題です。
それをちゃんと分かってくれてるっていうことは、従業員にとっても心強いことだと思います。
- 松本
ありがとうございます。これはChatWorkのいいところでもあり、悪いところでもあるんですけど、タスクやチャットを、グループごとに立てられるじゃないですか。ともすると、そこのグループに入ってない案件の情報って見え辛いんです。
うちの会社は割とプロジェクト単位で動いてるんですよね。私と絡んでいるメンバーはJAMSTOREの理念や方向性や現在の状況をキャッチアップしやすいんですけど、私が絡んでないプロジェクトチームは置き去りになりやすいんです。その辺りは把握してうまく活用しなければならないところですね。
仲間として残ってもらえる組織に
今後の展開として導入していきたい制度や、理念でも働き方でも、会社の進むべき方向性などお考えがあれば教えてください。
- 松本
基本は「広告制作事務所ですよ」というところをなくすつもりはもちろんないんですけど、会社の特徴として、「Re:motto」のサービスを強化していきたいなと思っています。
当然ながら、深夜残業できる広告制作事務所さんや、フルタイムで働けるデザイナーさんがバリバリいる会社さんと比べたら、うちの生産できるボリュームって圧倒的に少ないので、同じ土俵で戦っても負けてしまいます。じゃあ、どこでユニークさを出すかというと、やっぱり「Re:motto」なんですね。
「Re:motto」は、他社のサービスとどう違うのかというところを考えると、1番はディレクターがいることなんです。例えばお客さんがデザイナーやライターに直接発注するのではなくて、間に1人立つことで「それはデザイナーの仕事ですね。ライターは今月はこういう状況ですね」と調整してあげる。これをやるとスピードは遅くなるんですけど、お客さんにとって後々発生しうるリスクが軽減されたり、無用なトラブルも減ったり結果てきには全体がスムーズに回ります。そこは評価して頂いているところなんです。
それを踏まえて今後は制度として、ディレクションができるというスキルに評価を与えたいなと思っています。お給料を今後上げていくことも考えて。今うちのメンバーって、130万以下(扶養控除内)でなんとか収まるように計算をしてる人が多いんですけど。
ええ、それはもう大事なことですよね。
- 松本
次のステージとして、その域を超えてもいい、バリバリ働きたい!となった時に、インセンティブを使ってプラスしようかという選択肢ができますよね。ずっと、扶養を抜けても残れる組織になれるような給与体系や雇用形態を今後作っていけたらなとは思ってます。
そうですね。子どもが育ってくると、そっちに舵を切りたくなっていきますもんね、皆さん。
- 松本
はい。
ちゃんと会社が従業員と共に成長してるように感じます。すごく素敵ですね。
- 松本
もちろん卒業してくれてもいいんです。「フルタイムでバリバリできるようになったから他の会社へ!」というのも大歓迎なんですけど、できたらうちの会社で、今ダブルワークがスタンダードになりつつある世の中なので、副業のひとつとしてでもいいですし、仲間として残ってもらえる組織になれたらいいなと思っています。
ダブルワーク歓迎なんですね。
- 松本
ダブルワーク、トリプルワーク、全然オッケーです。
その自由さも素敵です(笑)。
- 松本
今現在でも、他の組織に属してる方も結構多いんです。いろいろアイデアが柔軟なんですよね。
いろんな人種がいると会社も面白くなりますよね。
- 松本
私も経営者として参考にさせてもらってるので、ぜひ!という気持ちです。
三島さん、従業員の立場として、「これからこういうことがあったらいいな」みたいなことがあれば。
- 三島
さっきお話に出たリモート飲み会があったらいいなと(笑)。
そうですね、楽しそうですよね(笑)。
- 三島
会議の場以外でざっくばらんに顔を合わせて喋るってことがなかなかないので、そういう場が増えていったらいいなっていうのはすごく思います。
それはいいですね。素敵な提案だと思いますので、ぜひ松本さんの方に。
- 松本
しましょう、しましょう。
- 三島
はい(笑)。
取材後記
ロングワーク生活から180度転換させて、会社のあり方を再構築した、という大胆な経緯に驚きました。従業員の働きやすさに寄り添っていることや、「仲間として残ってもらえる組織」として、今後の展開などもとても印象的でした。フルタイムでなくとも能力を発揮できるというのは、とても魅力的です!
ますますのご活躍をお祈りいたします!
(リモートワークラボ編集部)
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この記事を書いた人
土佐光見
リモートワーク研究所研究員・ライター。
webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。