(最終更新 2018/08/14)
日本ではまだまだリモートワークについて書かれた書籍は多くありません。そこでリモートワークラボでは、海外で出版されている書籍の中から、リモートワークを実践するにあたって参考になりそうな書籍を選んで、研究員が読破し感想とともにご紹介しています。ぜひご参考に。
概要
この本は作者のScott Berkunさんが、WordpressというブログのソフトウェアをつくっているAutomatticという会社で働いた時の実体験を元に書かれています。
WordPressといえば、全世界のサイトの約30%はwordpressを使ってできていると言われているほど世界的に存在感の大きいソフトウェアです。そんなAutomattic社はそのユニークな社風で有名で、ほぼ全社員がリモートワーク、成果主義でいつ、どれだけの時間働くのかも自由、締め切りなし、スケジュール管理もなしで、もちろん服装も自由です。(この本の題名はここからきています。笑)社内のコミュニケーションは全体を100%とすると社内ブログが75%、IRC(チャット)が14%、Skypeが5%、メールがなんと1%という割合になっており、一般的な会社とは大きく異なることがわかります。
この本ではAutomatticがどのようにして運営されているのか、実際にAutomatticで働いた作者にしか語れない日々の業務の雰囲気から新人教育といった細部まで語られています。
感想
題名からもわかる通り、カジュアルな文体で書かれており、読み物としても面白かったです。
採用の重要性
2点感想があり、1点目はリモートワークに限らず、自由な社風の会社にとって採用というのがとても大切になってくるんだなと思いました。
規則がなく、自由な環境で働くにはセルフマネジメントが欠かせません。Automatticでは、面接や履歴書で判断することはしません。応募者がセルフマネジメントができる人か、能力があるかを見極めるため、トライヤルで実際にプロジェクトに入り、働きぶりを評価されます。
これは採用までにとても時間がかかるため、応募する側にとっても会社側にとっても大変なことですが、深くお互いのことを知るためには、一緒に働いてみるというのが実は一番の近道なのではないかと思います。
500人以上の会社でもリモートワークは可能
2点目は、500人以上の社員を抱えるAutomatticが全社員リモートワークを実現させているという事実は、リモートワークを研究している私たちにとって大きなことだと思いました。
というのもリモートワークは「小さな会社だから実現できる」「大きな会社は社員の目が届かなくなるのでリモートワークは無理」と言われることがありますが、会社の規模や世界的影響力からみて間違いなく大企業であるAutomatticがこうして完全リモートワークを実現している姿をみていると、ポイントは会社の規模ではなくやり方なのだとこの本が語りかけてきている気がしました。
プロフィール
野本 司(のもと つかさ)
リモートワーク研究所研究員。大学時代にアメリカとスウェーデンでの留学を経験後、2017年4月にソニックガーデンに入社。入社前のインターンシップから現在まで、ずっとリモートワークをしている。世界各地を移住しながら働く生活スタイルに憧れがあり、現在計画進行中。趣味は旅行、プログラミング、野球。