リモートワークの定義

「リモートワーク」とはどのようなワークスタイルを意味するのでしょうか?
おそらく、多くの人はこの言葉に対して「離れた場所で働く」というイメージを持っていると思います。

しかし、「離れた場所で働く」といっても、その働き方は様々です。例えば、大企業の地方支社で本社チームと働く人もいれば、フリーランスでクラウドソーシングサイトを介して依頼者のために働く人もいます。

また、テレワーク、在宅勤務などリモートワークと類似する言葉も多く、共通認識がない場合には誤解や混乱を招いてしまうこともあります。
そこで、ここでは類似する言葉を整理した上で、リモートワークラボが考える「リモートワーク」の定義についてご紹介します。

リモートワークと類似の言葉

リモートワークと類似する言葉として、以下があります。
それぞれについて説明します。

テレワーク、在宅勤務、在宅ワーク
一般社団法人日本テレワーク協会によると、テレワークの定義は「情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」となっています(※1)。

テレワークという言葉は、かなり幅広い働き方を包括する言葉で、就業形態で分類すると、会社に雇用されて働く「雇用型テレワーク」、フリーランスやSOHOのような「自営型テレワーク」、在宅ワークと呼ばれていた「内職副業型テレワーク」の3種類が含まれます(※2)。
また、雇用型テレワークの中を見ても、自宅で作業を行う「在宅勤務」の他に、営業マンが外勤中にノートパソコンやスマートフォンを使って仕事をする「モバイルワーク」も含まれています。

つまり、自宅でオフィスと同様の仕事をする経理担当者も、顧客訪問の合間にスマートフォンでメールのやりとりをする営業マンも、クラウドソーシングで仕事を受けるフリーランスライターも「テレワーク」をしていることになります。

※1:一般社団法人日本テレワーク協会
http://www.japan-telework.or.jp/intro/tw_about.html

※2:テレワーク相談センター(厚生労働省委託事業)
http://www.tw-sodan.jp/about/about02.html

ノマドワーク
「ノマド(nomad)」は「遊牧民」を表す英単語で、場所にとらわれずに自由に働く働き方として使われることが多いようです。カフェや公園などオフィスでも自宅でもない場所で、ノートパソコンやスマートフォンを活用して仕事をするスタイルが知られています。
就業形態については触れられていませんが、職種としてはブロガーやライターの方が多く、フリーランスの働き方として取り上げられることが多いようです。

クラウドソーシング
「クラウドソーシング(crowdsourcing)」は働き方を示す言葉ではなく、不特定多数の人に対して仕事の依頼を出して、コンテンツ等を作成するプロセスを意味します。従来の外注、アウトソーシングと類似の点も多いですが、クラウドソーシング事業者がWebサイトを提供し、そのWebサービス上で依頼者と作業者のマッチングを行う仕組みがよく知られています。
クラウドソーシングサイト上で仕事を請けて働く方にも様々な就業形態があると考えられますが、自営業・フリーランスの方の働き方として取り上げられることが多く、案件単位で報酬が支払われる形が一般的です。

リモートワークの定義

リモートワークラボでは、リモートワークを新しいワークスタイルだと考えていますが、独立してフリーランスになることを想定しているわけではありません。組織としてのチームワークは、社会にとっても個人にとってもメリットが大きく、リモートワークという働き方とトレードオフするのではなく、両立していくことが重要だと考えています。

リモートワークラボでは、オフィスという働く場所の制約を外しつつも、これまで通り組織に所属し、長期的な関係を前提としたチームワークを発揮する働き方を「リモートワーク」と位置付けています。

definition

図:場所と組織による働き方の分類

「テレワーク」と「リモートワーク」の関係
「テレワーク」という言葉との関係を考えると、上記の通り、フリーランスや内職はあまり想定していないので、「雇用型テレワーク」に近いと言えるかもしれません。ただし、「リモートワーク」の定義では長期的なチームワークが育まれる組織であることが重要であって、契約の形態によって厳密に区分することを目的とはしていません。

「雇用型テレワーク」では、原則としてオフィス勤務が義務付けられており、外回りのときだけスマートフォンでメールをチェックするといった形の「モバイル勤務」のケースも含まれます。しかし、そのような働き方は働く場所の制約が依然強いため、「リモートワーク」と表現するのは適切ではないかもしれません。

「リモートワーク」は働く場所の制約を外した働き方なので、状況に応じて自宅とサテライトオフィスを使い分けることも想定されます。また、同じ会社に勤めていても、自宅で働く人とオフィスで働く人が混在するチームも想定されます。重要なのは、自宅やオフィスといった場所の制約が緩く、場所によって職場での振る舞い方が左右されない点です。

働く場所が自宅の場合は「在宅勤務」、サテライトオフィスの場合は「サテライトオフィス勤務」のように場所に対応させた「テレワーク」の分類と、働く場所の制約が緩いことを表す「リモートワーク」を関連づけることは難しく、異なる切り口の言葉と考えた方が良いのかもしれません。

フリーランスと「リモートワーク」の関係
「リモートワーク」は組織に所属しつつ、働く場所の制約を外した働き方です。そのため、組織そのものから独立し、案件の期限内で仕事を請け負うフリーランスの働き方は、私たちが考える「リモートワーク」とは隔たりがあります。(上図参照)

まとめ

リモートワークラボでは、リモートワークを「働く場所の制約を外しつつも、組織に所属し、長期的な関係を前提としたチームワークを発揮する働き方」と考えています。

物理的に離れていれば全て包含する「テレワーク」とは異なる切り口の言葉であると言えるでしょう。また、組織から独立していることを前提としたフリーランスの働き方とは接点が少ない言葉だと考えています。

次の記事はこちら

リモートワークのメリット